次の日、私は高熱を出して寝込んだ。

学校は休み、病院へ行くのも辛かったので、みやちゃんとお兄ちゃんが交代で看病してくれた。


「……………」

ベッドの上で目をあけて横を見ると、みやちゃんが玉子酒を用意してくれた。

「飲めそう?」

「うん……いま、何時?」

コンタクトをはずしていたので、時計の針が何時をさしているのかわからなかった。

「2時。夏生はちゃんと学校行ったよ」



「…みやちゃん、私ね……フラれた」

「はい?」

いきなりのカミングアウトに、不意をつかれたみやちゃんは少し目を丸くした。

「昨日……夕立のすごい時に、フラれた」

「……どうして?」

「お兄ちゃんには、絶対内緒ね…」

力の入らない人差し指を、なんとか口元へもっていき、"秘密"と、ジェスチャーをした。

「うん」

「相手さ……昔、つき合ってた彼女、妊娠させたことあるんだって」

「あら……」

場数ふんでるだけあって、みやちゃんはその話にあまり驚いた様子はなかった。