それって……私は、いらないってこと?

「さよなら」

私は雨の手を離して、土砂降りの中を走った。


「……………っ」

家に帰って、洗面所で服を全部脱いで、シャワーを浴びた。

……一緒に苦しんでほしいって言われたかった。

そしたら、私、一生雨の側にいたいと思えたのに………



でも、雨はきっとそんな事は言わない。

わかんない、わかんない…。

部屋着に着替えて自分の部屋に戻ろうとすると、玄関にはお兄ちゃんがいた。

丁度、学校から帰ってきたのだろう。

「ただいま」

「……………」

珍しくお兄ちゃんから話しかけてきたけど、私はシカトした。

「冬美、今日バイト?」

「ないけど、夕飯用意する気ないから…外でテキトーにしてきて」

冷たく吐き捨てて、私は部屋に入ってカギをしめた。

次の瞬間、体の力が抜けて、涙が溢れた。

「おい、冬美?」

私の様子がおかしいのを察して、お兄ちゃんはドアをノックしてきた。

「…………っ」

両耳をふさぎ、声を殺しながら、泣き続ける事しかできなかった。