はっ、愁也っ!

振り返れば愁也が冷たい目で私達を見ていた。


「……レオナルドといちゃつきに来たの?」


!!

なに言ってんの、この男は!?
あまりのことに、ぱくぱくと開いた口が塞がらない。
そんなわけないって、愁也が一番知っているくせに!

さっきまでのぐだぐだが一気に吹き飛んで、一瞬で頭に血が登る。
握った拳が震えて。


「……ぅやの……」


私は、思わず、


「愁也の馬鹿あぁぁ!!」


彼を殴り倒していた。


「痛ってぇ……」

「モロ入った……」

気がつけば、私の前に転がる男二人。いつの間にか私は見事に打ち倒したらしい。
ふん!馬鹿共め!!!


「もう知らない!
クソ軽いイタリア男も、他の女と密会する日本人男も、まとめて沈んどけ!!!」


怒りにぶるぶる震える私の目から、ぼたぼた涙がこぼれたけど。

それを見た愁也が、大きく目を見開いたけど。

もうそんなことに構ってる余裕もなかった。



「――日本に帰るっ!!」