目を開けると、まだ夜中。真っ暗闇の中に満月が1つ。

それをみた俺の血管という血管がうずきはじめる。心臓の動きが活発になるもの感じる。

ぐぐぐぐ…とどこからか音が聞こえる。

「……ぐぅ」

どこから、というより俺の腕から音がしている。

これは生まれた時から。満月を見れば腕が毛深く…オオカミのようになり。

海に行って奥深くまで潜ればサメのようになり。

高いところから空に向かって飛び出せばたちまち翼が生えてハヤブサのようになる。

「……はぁ」

そんなこと考えなおしてる間に俺はオオカミに変化していた。顔はオオカミだが、人間の言葉も話せる。

今いるのは人気のない路地。

そんな時、クラスの女子…時海(イツミ)が海の方に向かっていくのが見えた。

……何をする気だ?

俺はあいつをつけてみることにした。

……俺は野獣。これは本能。