看護師の後について、嘉雄は集中治療室へと入って行った。

「友紀奈・・・」

嘉雄は、友紀奈の名前を優しく呼んだ。

友紀奈の目は、天井を見ていた。

その目線が嘉雄の声とともに、嘉雄の声のするほうへと動いた。

「俺だよ!嘉雄だ!」

と嘉雄は、なるべく普通に言ったつもりだった。

しかし、嘉雄の声はこの集中治療室に響いていた。

案内してくれた看護師が口に人差し指をあてた。

嘉雄も、看護師へ頭を下げた。