「お嬢さんは、意識不明です。今夜が多分峠だと思います。しかし、そのあとは意識がもどるか本人の生きる力次第です。」

と友紀奈の母に向かって医師が言ったのだった。

友紀奈の母は、泣き崩れそうになるのを抑えて、

「先生、娘に会わせてください。」

と言った。

「もちろんです。これから、集中治療室へ運びますので、それからどうぞ。」

とだけ言って、また手術室へと戻って行った。