自宅に着いた友紀奈は、気分は乗らないが雅史に連絡した。

雅史は、すぐに迎えに行くと言った。

本当は、友紀奈の心の中では、車には乗りたくなかった。

でも、交通の手段として車ほど便利なものはなかったので、やはり了解したのだった。

「お待たせ!」

案外、近くに住んでいる雅史は、電話を切ってから そんなに時間もたたないで迎えにきた。

「うん。」

そう言って、友紀奈は雅史の勧めるとおりに助手席へ乗り込んだ。

友紀奈がもっと年齢がいってれば、きっとこの時に助手席へ乗り込むことはなかっただろうに・・・

雅史は、友紀奈に

「行きたいところがあるんだ!」

と言った。

もちろん友紀奈は断る理由もなかった。

「ええ、雅史の行きたいところでいいよ。」

と答えるので、精一杯だった。

二人を乗せた車は、夕方の街並みの中へと消えて行った。