ー キーンコーンカーンコーン。






午後の授業が終わり、放課後なった。





チャイムと同時に教室から一斉に出て行く生徒と先生を見送るような形で見て、荷物をまとめ、愛雅を昇降口で待っておくように指示した。




あたしは、猛ダッシュして、あたしがとおるたび、ビュンビュンと風の音がなるくらい走って昇降口に行った。





「麻帆、部活は?」




「いいの!今日はもう疲れたからサボるよ」




「いいのかよ・・・」




「いいの!」





あたしは陸上部に実は所属している。




中学の頃は、『高校に行って、インターハイにでる!』っていう夢だった。




でも、それはもう出てるから・・・・




今は、『プロになってオリンピックに出たい!』





これが夢だ。











だから、その夢に向かって、必死にやる!




でも、時々サボっちゃって・・・・
練習に参加していな日があるけど・・・





もう少しで試合だから、明日からはちゃんと部活に行く!




インターハイよりも小さな試合。




だけど、どんなに小さな小さな試合でも勝ちたい!




じゃないと、夢は叶わないから・・・




負けることも一つの勉強。




だけど、勝った時の喜びをあたしは味わいたい!



だから、一生懸命頑張る!










昇降口から一歩、愛雅と一緒に歩き始めた。





この時間が好き!




こうやって、愛雅の隣で笑い合って、色んな話をするのがすっごく落ち着く。





あっという間に家に着いた。





「ばいばーい!また明日ね?」





笑顔で手を振ると、愛雅も手を振ってくれた。





家の中に入った。












「いってきまーす!」





思い切り、家を飛び出した。





隣の家の方を見ると、愛雅がいた。





えっ!?




今日、いくらなんでも早すぎない!?





あたし、いつもよりも早くに家を飛び出したんだけど・・・?





「おす!麻帆!」





「おはよ!愛雅」





「今日さ、久々に小さい頃良く行ってた公園行かね?」





「え?・・・」






学校あるから、拒否しようとしたのに・・・





て、ててて手を握られてるから、あとに引けなくなったし・・・




なんか、胸がキューって苦しくなる。





愛雅のあたたかくて大きな手にきゅんとしてしまう。




もう!



だから、この気持ちはなに?











手を引かれるがままに公園に着いた。





「なに?なんで公園に?」




「昨日、なぜか、幼稚園のこと思い出してさ・・・」





ここに来てよく、幼稚園の頃は遊んでいた。





その時はまだまだ子供だったし・・・
好きとかいう感情は一切なく言った言葉。




『好きだよ?愛雅!だから、絶対結婚しよね?』





でも、愛雅から出た言葉は・・・




『いや』




の一言だった。





あたしは泣きじゃくった。






「だから、その言葉を取り消したい」






そのためにここにあたしを連れてきたみたいだった。












「麻帆、だいぶ前のことだけど、ほんと悪かった」




「ううん・・・・」





首を横にブンブン振った。




「麻帆、実は・・・俺、ずっと麻帆のこと好きだった。でも、陸上のことしか頭にないと思ってた」






えっ?えっ?



・・・ぇえー!?



ちょ、待って・・・・・






愛雅があたしのこと好き?
考えられない・・・・



だって、昨日冷たかったときあったじゃん・・・・



夢?





そう思ったあたしだけど・・・




手をつねると・・・・




いったい!?



現実みたいだ。














こういう時ってどう返事すればいい?




「あたしも!」



がいい?



でも・・・
あたし、正直好きかどうかはわからない。





「あのね?愛雅・・・あたし、『結婚しようね?って言ったのは小さい頃だし・・・意味なく言った言葉だと思うの・・・だから・・・」





「そうだとしても、俺はずっと麻帆のことが好き」





愛雅の気持ちがグングンと伝わって行く。





愛雅の気持ちが嘘じゃないと、目を見ただけで判断できる。





だってものすごいまっすぐ、真剣な目で
あたしを見てるし・・・・





この時、ふいに、昨日愛未ちゃんが言っていた言葉を思い出した。




ー 『気づけば、男の子のことを考えてたりするのって、好きっていう意味?』





ー 『それは人それぞれだと思う!』











ずっと、授業中もたまに愛雅のことを考える。





帰り、家の中に入るとなぜか愛雅に会いたくなる。





きっと・・・・





あたし、愛雅のこと・・・・
好きなんだ・・・・






「愛雅・・・・今の言葉、取り消し!あたし、愛雅のこと、好きだったみたい!今、少し考えたんだけど・・・家帰ったらすぐ愛雅に会いたくなったり、授業中もたまに愛雅のこと考えてたりするの」







緊張して震えているあたしの声。





聞き取りずらいと思うのに、愛雅はあたしの話を最後まで聞いてくれた。




今だから言えるけど、その優しさがあたしは好き!大好きだったんだ!




やっとこの想いに気づくことができた。












「あたしも大好きだったんだ!幼なじみとしてじゃなくて・・・」







「麻帆・・・・ずっと俺のそばにいてくれる?ずっとずっと」






「うん!いる!愛雅のそばにいるよ!」






あたしは愛雅思い切り飛びついた。





小さい頃は普通にこうして抱き合えたのに、今はお年頃だから・・・
もう、いつの間にか抱き合わなくなったんだね・・・




やっと気づけた!




このモヤモヤとした気持ちが一体なんだったのかも・・・・





ずっと自分の気持ちをここのの引き出しの奥の奥にしまっていたんだ・・・




だから、答えがあたしの口からでなかった。