春川 凪








椿にぃと一緒に部屋に入った







「……………なにか、あった?
昔のこと、思い出した?」







そう聞かれて
軽く頷いた







「でも!
もう大丈夫なの」
そう言うと少し困ったように笑ってから







「あのな、にぃちゃんたちも思い出すと怖くなる
逃げたくなる
けど、表面には出さないだろ?」







そう問われて頷いた
それを見て話を続けた







「でもね、家ではちゃんと泣くし怖がる、笑うし嬉しくなったり悲しくなったり
ちゃんと、感情を出しているんだ
凪はあんまり家には来なかったけど
わかるでしょ?
俺達は、兄弟だ
たった五人しかいない、
兄弟なんだ…


兄弟しかいないときは、泣け。
笑え
人の言葉なんて気にすんな
笑っていいんだよ
泣いていいんだよ
悲しんでも、喜んでもいい
きちんと、言って…
ね?」







そう言う椿にぃの顔が泣いていた