春川 椿








俺は今、妹に逃げられた







多分また、昔を思い出したのだろう
母さんと父さんは死んだんだ
そう聞いた時のことは俺も思い出したくはない







みんなそうだ、
けど、凪は特に
病気で心配ばっかりかけて、自分が嫌になって出ていったんだって泣いていた







本当のことを知らないから………
湊にぃと梓にぃはまだ小さい二人に死んだとは言えず、出て行ったと言った







ばあちゃんのところから施設に連れていき、きちんと顔を出すからと約束をして施設に俺、凪、夕の三人を置いて行った







凪は笑わなくなった
医師は精神的なものだと言った
だけど、何年たっても笑わない凪を見て湊にぃは自分を責めた







家族がその時からバラバラになったのだろう…………
きっと、どっかで間違えたんだ
けど…………







それに、誰も気づけなかった……………
みんなが狂った。
みんなが泣いた。







誰も悪くは無かった。
これが俺たちの運命だったんだ
そう思い、生きてきた
みんなそうだ、
誰かを責めることは誰一人としてしなかった







五人でちゃんと大きくなる。







初めて皆で考えた課題だった
天国の母さん、父さん、ちゃんと俺たちは生きていますか?