次の日
「おはよー、直弥!昨日大丈夫だったかぁ?」
「おはよー、おう大丈夫だった。たいしたことなかった……。」
「でも、顔色悪いぞ?」
「大丈夫!」
「でも、本当に顔色悪いぞ……?」
「大丈夫だって!!」
(あぁ、やっちまった……。)
「な、何おこってんだよ。意味わかんねぇ」
(はぁ、怒らしちゃった……優斗は何も悪くないんだよな……)
「わ、わりぃ……。ちょっと頭いたいから保健室行ってくるわ。」
「おう、無理すんなよ……」
「サンキュー…。」

保健室で俺は色々なことを整理していた。
白井は優斗が好き。
俺は優斗の好きな人を聞き出して、白井に伝えなければならない。
たった2つのことだけなのに…
頭がおかしくなりそうだ。
「俺の…初恋……儚く散ったかぁ……」
保健室のベッドで俺は眠りについた。
もう、目をさましたくない。
できるのであればずっと、このままずっとこのままがいい。

ーキーンコーンカーンコーンー
ーキーンコーンカーンコーンー

『一時間目終わったわよ、体調はどう?』
保健室の先生の声がやけに耳に響く。
「もう、大丈夫です。ありがとうございました。」

教室に戻ると、優斗と白井が楽しそうに話しているのがやけに目立って俺には見えた。
(優斗も白井が好きなんだ…)
ただ、そう思った。
なんの確信もなくそう思った。

「おっ、直弥!大丈夫か?……帰るのか?…おい、直弥!」
(わりぃ、今はお前と話したくない。)
初めて、優斗と出会って初めてお前を無視した。

家に帰っても誰もいない。
「……こんなときにかぎって…家の鍵忘れた。……なんなんだよ…。マジ、運わりぃ…。」
静かな住宅街、公園、川沿いをひたすら歩いていた。
気がつけばもうお昼。
優斗からの着信が20件。
メールが30件。
「優斗…」
メールには『何かあったのか?』『俺、何かしたか?したなら話してくれ。』『今どこにいるんだよ!』
心配メールがたくさん届いていた。
携帯を眺めていると
プルルルルル プルルルルル
「……!優斗……もしもし。」
『直弥か?どこにいんだよ!電話もでねぇーし!メールの返事も帰ってこねぇーし!どうなってんだよ!何があったんだよ!』
「いや、体調が悪くて……」
『嘘つくなよ!なんかあったんだろ?』
「本当にわりぃ……。ありがとな。」
この人ことだけ言って携帯の電源を切った。
(俺って最低。)
そのあと、川沿いにある公園で俺は寝ていた。
築けば辺りは暗くなり始めていた。
「帰ろう……」

家には明かりが灯っていた。
「ただいま。」
「直弥!どこにいってたのよ!学校からたくさん電話があって……直弥!どこにいくの!話は終わってないわよ!直弥!」
俺はなにも言わず自分の部屋割りに戻った。
体温計で計るったら……
「38.6……熱あんじゃん俺…」
思わず笑ってしまった。