「あったあった!」


扇風機売り場を見つけ、稲瀬と並んで見る私。




「色の種類多いね。どこれにする?買ってあげるよ」

「え?」


私がそう言うと、稲瀬は驚いていた。




「…さっきのジュースのお礼。100円だし…良かったら買うよ」


うう。

稲瀬の顔、まともに見れない…




「そう言われると、どれにするか迷うな」




稲瀬は、真剣に扇風機を選び始めた。




こういう稲瀬はかわいいな。

母性をくすぐられるというか…


だから私、稲瀬にお弁当とか作ったりしてるのかな。

男友達に、母性って芽生えるのかな…




「なぁ…」

「ん?」

「本体の色が青で、羽がピンクの扇風機を俺が持ってたらキモい?」

「はい?(汗)」


人が考え事してるとき、拍子抜けするような質問されたんだけど…


私は青い扇風機を、手に取った。



この扇風機、全部本体の色と羽の色が違うんだね。

私のも、本体はピンクで羽は青だし。




「別にキモくないよ」

「じゃあ青にする。買ってください」

「…はいはい」


私は青い扇風機を持ち、稲瀬とレジに向かった。




「家に電池ある?これ、単4の電池が必要だよ?」

「…わかんねえ」

「じゃあ、ついでに買おうか………っ!?」


稲瀬と話している途中…

突然誰かに見られている気がして、後ろを振り返る。