修君の荷物の多さに、驚く日向。




「多香子ちゃん、お待たせ(汗) 紗咲~荷物まとめるのに時間かかっちゃったわ~」


聡美さんが、一仕事終えた表情をして、リビングに入って来た。




「いいのよ~全然!大変だったわね、お疲れさま。ま、一杯飲みなさいよ♪」

「あら、ありがとう♪」


お母さんは、聡美さんに缶ビールを1本差し出した。





「陽葵と日向は、悠くんと修くんを部屋に案内してあげなさい。片付けも手伝ってあげるのよ~」


お母さんは軽い口調で言った。



あの人、口だけで何にも動いてなくない!?(汗)

本当女王さまだ!







すると…廊下で、稲瀬が荷物を下ろしている姿が見えた。

日向は、先に修君を部屋に案内している…


私も…稲瀬を、部屋に連れていってあげないと…

私は廊下にいる稲瀬に、そっと声をかけた。




「…部屋2階なの…」

「…わかった」


稲瀬は、大きめのキャリーバッグを抱える。



修君よりは、稲瀬の荷物は少なめだな…

あ…





「こっち持つよ」


さっきより一回り小さい、もう一つのキャリーバッグを持とうとすると…




「いい…部屋どこ」

「っ!」


稲瀬は、私が持とうとした方のキャリーバッグも、軽々とひょいと持ち上げた…




ち、力持ち…

私じゃ頼りなかったからかな(汗)

それとも、私には私物を触られたくないとか…


私はちょっとショックを受けつつ、稲瀬に2階の部屋を案内した。





「…ここ客室なんだけど、お客さんなんて来ないから…好きに使って」

「ん…」


その部屋は…階段を上がってすぐある、一番手前の部屋で、ベットとクローゼットくらいしかない。

ちなみに、その隣の部屋は私の部屋だ。



カチッ

ガチャガチャ




「・・・・・」


稲瀬は早速キャリーバッグを開けて、中から荷物を出す。




「これ持ってて」

「え…あ、うん…ハンガーにかけようか?」

「うん」


稲瀬から学校の制服を渡された私は、クローゼットからハンガーを出して、丁寧にかけた。


制服が出てきたのは…さっき私が持とうとしたキャリーバッグ…

中に入ってた私物を、私に渡すってことは…触られたくなかったわかじゃないのかな…