家に入ると、お母さんはダイニングテーブルにドカッと座り、家中を見渡した。


お母さんは、真っ赤なパンツに白いブラウスを着て、メイクはやや濃いめ、髪も明るく、香水の香りをただよわせている。


これが、私のお母さんです…

東京で女性向けビューティーサロンを経営していて、見た目は派手だし、豪快な性格。




「陽葵~みんなにロイヤルミルクティーでもいれてよ」

「はいはい」

「あと、なんかお茶菓子ある?ママはクッキーがいいな~」

「はいはいはいはい(汗)」


この人、いつ会っても変わんない。

平気で、子供をこきつかうんだから…




私は言われた通り、キッチンで全員のお茶をいれた。




「聡美ちゃん大丈夫?」

「うん平気よ、ありがとう」


稲瀬のお母さんは、落ち着いたみたいで、私のお母さんに笑顔を向けた。




稲瀬のお母さん…聡美さん…だよね?

本当にキレイな人…


一見クールビューティーな感じだけど、話すとかわいい感じ…




ピンポーン…





「あ!修君来たんじゃない?」

「えっ…」


“修君”という名前に、聡美さんが反応する。




「私出るね~」

「わ、私も…」


日向と聡美さんが、玄関へ走っていく。


私は全員分のロイヤルミルクティーを、テーブルに並べた。




「ごめん…」




稲瀬の分のミルクティーを置くと、テーブルのすみに座る稲瀬が、申し訳なさそうに言った。


「いいって」と言って、私は笑顔を向けた。