花火も最終局面をむかえ、休みなく打ち上げられていく。

空が明るくほど、白とオレンジが混ざり合った光が、爆音と烈しい輝きの末散ってゆく。

「きれい」

花火をみつめる玲が呟いた。

礼二は、真横にいる玲の顔を見た。花火の光に彩色された彼女の横顔が、輝いてみえた。

──君のほうが奇麗だよ

そんな古臭い台詞が、頭の片隅に過ぎった。よくドラマとかで聞く、歯の浮く言葉だ。

だが玲にはその台詞がぴったり合うと、礼二は心の底からそう思った。

あまりの美しさに彼は、玲の横顔から目が離せなくなっていた。

礼二は胸の中で玲の愛しさが膨れ上がっていくのがわかった。

そんな礼二を、里子は隣りから、じっとみつめていた。

彼をみつめる彼女の横顔はどこか寂しげだった───