5
晩。仲間礼二は自室で復習をこなしている。
しばらくしてシャーペンを持つ手が止まる。
心がざわついて思いが勉強に向かない。
集中力はとうに切れていた。
彼は大きく伸びした。そのままのけ反り、天井を見上げた。礼二の体重を受け止めた椅子が、ぎぃと音を立てた。
彼は天井を眺めたまま動かない。
中央図書館の美少女。今日名前を知った。
水谷 玲。素敵な名前だった。
彼女のことは中央図書館の外で眺めるだけで満足だったはず。
水谷 玲の姿を見るだけで幸せになる。
それだけで良かった。
それ以上は考えないようにしていた。
今では館内に立ち寄ったことを後悔している──かどうかはわからない。
一つ長い息を吐くと、礼二は椅子から立ち上がり、ベッドに腰掛けた。
今では礼二の思考の全てを水谷 玲が支配している。
談話室での彼女は、想像通りおしとやかな美少女だった。
マシュマロのような白い肌、笑うと並びの良い白い歯が印象に残っている。
中でも彼女のややつり上がった切れ長な二重が、礼二のお気に入りのパーツだ。
彼氏はいない。中尾のいたずらな笑みを思い出す。
礼二は寝転び、ベッド横の壁をじっと見つめた。
玲のことを考えると、全てを忘我し、無防備になる自分を気づくまでに時間がかかる。それは礼二にとって、とても心地良い放心だった。
不意に黒いもやが礼二の頭の中にかかった。
もやの原因はわかっている。
森永里子だ。
水谷 玲と森永里子は友人だ。それも幼馴染み。
彼は思い悩んだ。水谷 玲と仲良くしたいという気持ちはあるが、森永里子とは距離を置きたい。
里子と繋がると、何か不幸が起こるのではないかと感じさせるあのオーラが好きになれない。
深く考えても仕方ないか。とにかく今日は疲れた。彼はそのまま眠りについた。
晩。仲間礼二は自室で復習をこなしている。
しばらくしてシャーペンを持つ手が止まる。
心がざわついて思いが勉強に向かない。
集中力はとうに切れていた。
彼は大きく伸びした。そのままのけ反り、天井を見上げた。礼二の体重を受け止めた椅子が、ぎぃと音を立てた。
彼は天井を眺めたまま動かない。
中央図書館の美少女。今日名前を知った。
水谷 玲。素敵な名前だった。
彼女のことは中央図書館の外で眺めるだけで満足だったはず。
水谷 玲の姿を見るだけで幸せになる。
それだけで良かった。
それ以上は考えないようにしていた。
今では館内に立ち寄ったことを後悔している──かどうかはわからない。
一つ長い息を吐くと、礼二は椅子から立ち上がり、ベッドに腰掛けた。
今では礼二の思考の全てを水谷 玲が支配している。
談話室での彼女は、想像通りおしとやかな美少女だった。
マシュマロのような白い肌、笑うと並びの良い白い歯が印象に残っている。
中でも彼女のややつり上がった切れ長な二重が、礼二のお気に入りのパーツだ。
彼氏はいない。中尾のいたずらな笑みを思い出す。
礼二は寝転び、ベッド横の壁をじっと見つめた。
玲のことを考えると、全てを忘我し、無防備になる自分を気づくまでに時間がかかる。それは礼二にとって、とても心地良い放心だった。
不意に黒いもやが礼二の頭の中にかかった。
もやの原因はわかっている。
森永里子だ。
水谷 玲と森永里子は友人だ。それも幼馴染み。
彼は思い悩んだ。水谷 玲と仲良くしたいという気持ちはあるが、森永里子とは距離を置きたい。
里子と繋がると、何か不幸が起こるのではないかと感じさせるあのオーラが好きになれない。
深く考えても仕方ないか。とにかく今日は疲れた。彼はそのまま眠りについた。