でも、目の前にいるのは、紛うことなき侍だ。
 武士っていうのか?
 侍と武士って、どう違うんだっけ?

 いやいや、そんなことはどうでもいいんだ。
 何なんだ。
 一体何が起こってるんだ。

 唖然とする僕に向かって、その侍は口を開いた。

「妙な格好をしておるな」

 お前が言うなっ!
 ったく、何なんだ、ほんとに。

 何かもうわけがわからなくて、言葉も出ない僕の目に、向こうのほうから駆けてくる人影が見えた。
 人がいる、と思ってほっとした僕だったけど、その人たちが近付いてくるにつれて、不安が大きくなった。

 二、三人の人が駆け寄ってきたんだけどさ、何というか……。
 皆『農民』だったんだ。