不思議だよね。
何の経験もない中学生が、こんな場面で落ち着いていられる。
多分、鬼切丸のお陰だ。
それと、佐馬ノ介の言う、僕の中に流れる血のお陰か。
今ここで鬼と対峙しているのは、渡辺 宗士じゃない。
その昔、橋の上で鬼の腕を斬り落とした、渡辺 綱だ。
「加勢するぞ」
佐馬ノ介の声がし、僕が構えた鬼切丸の鞘に、僅かに重みを感じた。
その瞬間、物凄い音と共に、小屋の戸がぶち破られた。
全く鬼って奴は、考える頭がないのかね。
そんな突進してこなくても、戸は引けば開くもんだ。
驚くほど冷静に、僕は目の前の状況を、音のみで分析しようとした。
あれ?
でもさっき、戸がぶち破られたの、見えたよな。
そう思い、初めて僕は、自分が目を開けていることに気付いた。
いや、正確には、僕が見ているわけじゃないんだ。
さすがに僕も、こんな状況---目の前にはでかい穴が開いていて、その前に、少し前に見た筋肉隆々の鬼が、目を光らせて立っている---見たら、気力も萎えるって。
それどころか失神するかも。
そいで、ジ・エンド。
でもほら、そんなことを考えられるぐらい、僕は鬼を見たまま冷静なわけさ。
何の経験もない中学生が、こんな場面で落ち着いていられる。
多分、鬼切丸のお陰だ。
それと、佐馬ノ介の言う、僕の中に流れる血のお陰か。
今ここで鬼と対峙しているのは、渡辺 宗士じゃない。
その昔、橋の上で鬼の腕を斬り落とした、渡辺 綱だ。
「加勢するぞ」
佐馬ノ介の声がし、僕が構えた鬼切丸の鞘に、僅かに重みを感じた。
その瞬間、物凄い音と共に、小屋の戸がぶち破られた。
全く鬼って奴は、考える頭がないのかね。
そんな突進してこなくても、戸は引けば開くもんだ。
驚くほど冷静に、僕は目の前の状況を、音のみで分析しようとした。
あれ?
でもさっき、戸がぶち破られたの、見えたよな。
そう思い、初めて僕は、自分が目を開けていることに気付いた。
いや、正確には、僕が見ているわけじゃないんだ。
さすがに僕も、こんな状況---目の前にはでかい穴が開いていて、その前に、少し前に見た筋肉隆々の鬼が、目を光らせて立っている---見たら、気力も萎えるって。
それどころか失神するかも。
そいで、ジ・エンド。
でもほら、そんなことを考えられるぐらい、僕は鬼を見たまま冷静なわけさ。