確かにね。
 あり得ないほど田舎だし、はっきり言って、地図にも載ってないんじゃないのって思うほどの山奥&小さい村。
 閉鎖的なんだろうし、そういう昔の風習を頑なに守ってるっぽくはあるけど。

 そんなことをつらつら考えながら石段を登って行く。

 お世話になってるお礼ってのもまぁあるけど、僕はこの仕事が嫌いではない。
 山の中は涼しいし、結構ね、祠からの見晴らしは良いもんなんだ。

 僕は手の中のお供えを見た。
 お供えっていっても、何故か豆ばっかなんだよね。
 暑さで腐らないものをっていう配慮かな。

 そうこうしているうちに、僕は石段の天辺についた。
 いつものように、祠の前で柏手を打ってから、中に入るんだ。

 何で柏手打つのって聞いたら、柏手ってのは、魔除けでもあるんだって。
 周りの空気を浄化するっていうの?
 音で魔を祓うっていうのは、よく聞くよね。

 僕は改めて、祠の階(きざはし)を登って、格子戸を開けた。
 奥に小さい祭壇がある。
 その前にお供えを置いて、ふと気付いた。

 何だ? これ。