目を覚ます。消毒液の匂いが鼻を刺激した。
ぼやけていた視界が綺麗になり、白い天井が見える。
起き上がろうと力を込めると、腕と頭が痛んだ。
「ったぁ……」
ドラマなんかでよく見る酸素マスクが口に当てられていてくぐもった声になってしまった。
そんな声でも気が付いたのか、近くにいた人が私の正面に来る。
「さゆり……!!」
私のよく知った顔だった。
「お母さん……」
お母さんの目が真っ赤だった。泣いていたのかな……?
「私、どのくらい寝てた……?」
「1日くらいかしら……。本当さゆりが、目を覚ましてくれてよかったわ……」
また泣き出すお母さん。
あれ?そういえば私、なんでこんなことになったんだっけ……。
「春斗!!お母さん、春斗は?!」