外は相変わらず雨が降っていて、私の頭をぬらす。
ぱしゃぱしゃという音をたて、全力で走る私の手を誰かが掴んだ。
「さゆり、ちゃんと話を聞いてくれよ。俺――――……」
春斗の震えた声が私の鼓膜を撫でる。
嬉しかった。追いかけて来てくれたことが。
だけどそれと同時にどうしようもなく悲しくて、苦しくて、私は振り向くことが出来なかった。
「話なんて聞きたくない。嫌いだって言ってるでしょ……?」
手を振り払って私は交差点を走る。
「だから話し聞けって本当!」
さっきまでの声とは比べ物にならないくらいの大きな声が聞こえて、思わず振り返る。
春斗が手に何かを持って、此方に近づいてきた。
そのときだった。
