「ぷっははは、もー無理。腹痛え」
勢いよく顔を上げた彼は、そのまま笑いだした。
無邪気で、子供っぽくて、思わず目を奪われた。
それと同時に恥ずかしいという思いが私の心を占める。
「もーそんなに笑わないで下さい!」
「ごめんごめん。あまりに緊張してるからさ。
てか諒に話すみたいに気遣わないで喋って良いよ」
目に手をあてて涙をふきながら彼は言った。
「あ、俺神田春斗ってゆーの。春斗とかで良いよ」
「ん。了解。私は――――……」
「藤崎さゆり、でしょ?」
何で知ってるの?
「何で知ってるの?って顔してるけど、普通クラスメイトの名前くらい覚えてるでしょ!」
「それもそうか。あ、さゆりでいいよ」