そういえば、ずっと前にデートしたときに、お揃いでリング欲しいねって言ってたっけ。




 春斗、覚えててくれたんだ……。





 視界がぼやける。ぐっと涙をこらえ、春斗のお母さんを見つめた。







「私これ春斗本人から受け取りたいです。だから、今は貰えません」









 手紙を箱にしまい、春斗のお母さんに箱を返す。




 春斗の顔を見つめる。包帯の巻かれていないところも皮膚は痛々しい色をしている。





 事故の直前の、酷く悲しそうな春斗の顔が今でも鮮明に覚えている。




 春斗の手をぎゅっと両手で握りしめた。










「春斗、ごめん、春斗。私が悪かったから。
 ちゃんと春斗の話し聞くから。だから……。目を覚ましてよ……。
 約束したじゃん。ずっと一緒にいようって…」











 寝てるだけなんだもんね。



 わかってるよ。





 全部どうせドッキリか何かなんだもんね。





 もう、十分驚いたよ。





 だから、だからさ、早く目を覚ましてよ。春斗。









 嫌いって言ったのなんて嘘。



 大好きだよ、嫌いになんかなれるわけない。











「兄ちゃん、危ないとこだったの持ちこたえたんだって。
 医者も吃驚したって言ってた。たぶん、もうすぐ起きるよ」