扉の向こうにあったのは、凄く難しそうな機械ばかり。
その奥に1つだけベッドがあって、そこには私の大好きな人がいた。
「春斗!」
身体に沢山の管が繋がれていた。
頭や腕には沢山の包帯が巻かれている。
それでもちゃんと誰か私にはわかった。
春斗のそばには、春斗のお母さんと弟の陸斗(リクト)くん。それに春斗のお父さん。
春斗のお母さんと私のお母さんが目を合わせ、一礼する。
春斗のお母さんが私に視線を移した。
「さゆりちゃん、これ……」
春斗のお母さんが、たんすのようなところから取り出してくれた小さな箱。
その箱には泥のような汚れがいくつか付いていた。
「春斗が轢かれてからもずっと握りしめていたらしいの………」
春斗のお母さんから受け取り、箱を開けてみる。
入っていたのは2つのリングと小さな手紙。
『さゆりへ
こんな俺だけど、これからもよろしくな!
-春斗-』