「....楓は、多分さくらちゃんのことが好きなんだと思う。だからってこんなこと絶対に許されないけど。」
「....そう、なのかな」
「え？」
「私が、蓮を裏切ってフラフラしていたから。....楓君があんなことするのも仕方ないのかもしれません。私が、優柔不断だったからいけないんです。」
「さくらちゃん」

そう。すべては自業自得なのだ。
きちんと理解していたはずなのにきっと浮かれていたのだろう。
そして拒否することによって嫌われることを恐れていたのだろう。
ただの、八方美人。ただの、偽善者。

「....ごめんなさい。お兄さん」
「謝るなよ。さくらちゃんは別に何にも悪いことしてないだろ？」
「本当に最悪なことしてます。せっかくの兄弟の関係をぐちゃぐちゃにしてしまって、ごめんなさい....。」

無意識に涙が溢れてきた。
あんなに仲の良い兄弟の関係を私一人のせいでこんな状況にしてしまったのだ。
それが不甲斐なくて申し訳なくて、ただただ涙が止まらなかった。

「泣くなよ....」

するとお兄さんが、優しく包み込むように抱き締めてくれた。
なんだか本当に兄がいるようなそんな気持ちになってしまって、私もそのまま胸に顔を埋めてしまった。