2週間後…
「コンクールの結果来たわよ~」
先生が大きなダンボールを抱えて美術室に入ってきた。
「まずね、“自然部門”で宮崎 里奈さんが特別賞よ~」
「え!部門って何個かあったの~?」
「あったわよ~…もう!ちゃんと紙渡したでしょ~?」
「あはは~よく読んでなかったかも!」
「次に日向葵さん前に来てください」
「え?あ、はーい」
「葵さんは“私が一番好きな風景”で大賞受賞です」
へ?私が?大賞!?
「「「え!」」」
1年生と里奈も驚いていた。
「おめでとう。絵は近くの美術館に少しの間展示されるそうです」
先生はそう言って私に額縁されている賞状とカップを渡した。
「先生!葵が描いた絵見たいです!!」
「それなんですが、今展示中なので…では直接見に行きましょうか!」
え!今から?
「恥ずかしいからいいです~」
私の言葉なんか無視して
みんなは準備をし始めた。
「これです!これ!!」
私の絵はなんと…
美術館の入口に飾られてあった。
「葵…この絵すごくいいと思う」
「ありがとう…やっぱ少し恥ずかしいけど」
「葵らしくていいよ」
先生は美術館に入って来た人に
「これこの子が描いたんです。私の生徒です」
って鼻高々に自慢している。
私が描いたのは
美術室の窓から見える風景。
タイトルは
“グラウンドと君”
***
「ねえ、葵ってどこまでいったの?」
突然、部活の時間に里奈が聞いてきた。
「いつ?」
「…捺とどこまでいったのってこと!」
「どこまでって…里奈はどうなのよ?」
「キスくらいはしたけど?」
「え!嘘!?」
「その様子だと、葵達はまだっぽいね」
「キスどころか…手もつないでないよ」
「え!それ、やばいね」
「なっちゃんにいっつもかわされるの…」
「あらら~」
もしかしたら私のことそこまで好きじゃなかったりして…
「なっちゃん~帰ろ!」
いつものように部活が終わったあと迎えに行った。
「もう少しかかるから校門で待ってて!」
「はーいっ」
すると誠也が駆け寄って来た。
「俺の姫は?」
「見たいテレビあるから先に帰っているそうです」
「わかったー…」
「わり!待ったよな」
校門に着いて10分後くらいになっちゃんが慌てて来た。
「大丈夫~」
私はなっちゃんに近づこうと寄っていったら
頭を抑えられて
「汗臭いから近寄るな~」
そう言われた。
「うーん…」
「じゃあ少し離れてもいいから手繋ごう~」
「手汗かいているからダメー」
「かいてないじゃん」
「まあ、また今度なっ」
「なっちゃんいっつもそう言う…キスもしてすれないし……私なんかに触れたくないんだね」
「そういう訳じゃねーよ!」
「じゃあ、何でっ」
「それは…」
「なっちゃんは…っ私のこと好きじゃないんだね」
私は泣きじゃくりながらそう言った。
「違うって!」
「もう、いい…っ」
私はそう言い残して走って帰った。
あのあと家になっちゃんが来た。
でも、私は会いたくなかったので
お母さんに断ってもらった。
「ちょっとー!葵どうしたの?」
昼休み迎えに来たのも断ったので
流石に里奈は
異変に気付いたのか
私に聞いてきた。
「ケンカした」
「え?あんたたちのケンカなんて一瞬で終わるじゃん。いつも30分後には仲直りじゃん?」
「だって…」
「何があったの?」
私は昨日のことを話した。
「そっか…でも、捺は好きじゃないとか言ってないでしょ?」
「そうだけど...」
「手繋がないと好きじゃないの?それは違うでしょ?」
私はこくりと頷いた。
「じゃあ、早く仲直りしなよ?」
「うん...」