しばらくして警官が嶋野の遺品の一部を持ってきた。
「ジャケットのポケットの中身なんです
が、あなたのものが含まれていないか
、確認してください。」
そう言って見せられたものは、ハンカチ、時計、財布、そして古い万年筆だった。
「私のものはありません。全部先生のも
のです。その万年筆は恩師にもらった
ものだそうです。」
「あの、財布の中に、こんな紙が・・」
手渡された紙は製薬会社のロゴが入った便箋で、おそらく病棟の看護師にもらったものだろう。それを受け取り開いてみると、中には嶋野の字で美知にメッセージが書かれていた。