「俺達は宮下捜しだ」

並田が言う

俺達は、ね
俺達は…

なかなか地味な嫌がらせ

清原と違うことをしてる感
を出そうとしてるけど

同じ意味なんだけど…
「まあ、せいぜい君達も
頑張りたまえ、
おそらく事件の真相を
知るのは不可能だろうがな」

砂浜を蹴ってもと来た道へ
引き返していった

「なんだよあいつ!」

並田は怒りを露わにする

「まあまあ、でも犯人候補が
一人出てきただけで
良いじゃないか」

「犯人候補にする?
たいして決定的なこと
なかったよな?」

「この言葉をしらんのか?」

「なに?」

「犯人は現場に
舞い戻ってくるって」

「舞っちゃうんだ…
しかもそれ俺らも
対象者だからね?」

「「…」」
俺たちは
朝起きると並田と一緒に
朝食をたべた

「今日はどうするんだ?」

並田が聞いてきた

勿論、昨日の内に
決めている

「ああ、まず清原に
何をしたか聞いてみるよ」

「清原…?」

もう忘れたのか…

「初日に会っただろ…」

「ああ!!あいつか!!」

あの海岸に居たんだから

この付近に
居るはずなんだが…
俺達はまず
ホテルをとってから

また海岸へと
戻ってきた。

辺りは夕暮れに染まり

海面はさながら血のよう
だった。

「…まるで血だな」

並田も同じことを
考えていたようだ。
「海面上を全て血に染める
為にはどれぐらいの血が
いるとおもうかい?」

並田らしくないな…
こんな質問。

「さあ…全世界の人の
血があれば
いけるんじゃないか?」

「多分それは無理だね。」

「俺もそう思う
しっかし縁起でもないこと
いうなよ~」
「でも、この海岸沿いだけを
血で染めるのなら
一人だけでもできるんじゃ
ない?」

「そうかもな。
てかお前、俺の話きいてた?
縁起でもないこというなよ」

「縁起なんて関係ないよ」

「は?なんでだよ?」

「だって…だって喜多は」
「いまから
死んじゃうんだから!!」

首に手が回る

もうだめだ…

目をつぶる。

こいつが犯人だったか…

なぜあのとき俺はこいつを
庇ってしまったんだ…

ちくしょう…




ってあれ?

首絞められてないし…

恐る恐る目を開けると

笑いをこらえてるせいか

口が変な風に曲がってる
並田が目に入った

「きっ…喜多…
びっびりすぎ」

神さま。こいつを殴っても
怒らないでください。

「ぶはははっ」

並田は声に出して笑い始めた

「ちょっ…喜多、目が
マジになっとるよ」

「笑いながらいうな!」

頭を一発
思い切りしばいてやった
その後はホテルに戻った

ホテルに戻ってからも
並田は痛い痛いとうるさい

「もう一回
しばいてやろうか?」

「遠慮しておきます」

「並田く~ん
遠慮しなくてもいいんだよ」

「ほんとやめて!!」

泣きそうな声で言うので
よっぽど痛かったようだ

「ちょっと
遊びすぎたかな…」

「喜多!お前、
反省してくれたんだな…」

「ちげーよ
そろそろ宮下捜しを
しなきゃだめだろ」
「そう…だな…」

並田の顔は真剣そのものに
なった

「どうした?」

俺は冗談で聞いたつもり
だったのだが、
並田は予想に反し

「…いや、なんでもない
ただの考え過ぎだと思う」

「…そうか」

俺も真面目に返事を
してしまった

明日は本格的に
探さなきゃな…

「明日に備えて寝ようぜ」

並田は
聞いていなかったようだ

「…おい」

「あ…ああ
スマン、何だって?」

「明日に備えて寝ようぜ」

「分かった」

…ほんとに並田どうした