次の日、学校に行く途中。昨日、見たばかりの背中を見かけた。
慧ちゃん。あの後ろ姿は多分慧ちゃんだ。
いつも朝練があるから、と先に行ってしまう慧ちゃん。
この時間に学校に来るのは珍しい。
慧ちゃんは横にいる女の子と楽しそうに話していた。
「あの子が――――――――……」
慧ちゃんの、好きな人?
少し見えた横顔は、私が一度だけ見たことがある、あの可愛らしい女の子。
胸に感じる痛み。
胸が痛くて、急に立ち止った私。
後ろからドンっという衝撃が与えられた。
「ったぁ……」
「すみません!大丈夫ですか?」
声の方を振り返ってみる。
相手は見たことのある顔だった。
確か………。
「此方こそ急に止まってしまってごめんなさい!!あれ?瀬野くん、だよね?」