「あ、おかえりなさい、教授」 「おや、雅風くん。どうしたんだ? そんなに本を抱えて」 夜半過ぎに、滝篠教授が帰って来た。 俺はいくつもある書庫の中から本を抱えて出て来たところだった。 「少し、勉強してみたくなったんです」 「……心理学をかい?」 「はい」 カウンセラーとか、なりたいものがあるわけじゃない。