決めたら行動は早かった。
壱星考案の《家出》は三日を目安にしたので、着替えや学習用具なんかを最低限持ち出した。
理波ちゃんの方は刹那がまとめてくれた。
仕舞ってある場所なんかは理波ちゃんに指示されていた。
家出した夜には壱星の家にお邪魔して。
揉めながら、俺と理波ちゃんで隣り合った客間を二間、使わせてもらうことになった。
壱星の野郎は自分の部屋に来ればいいと言い張ったが、そこで登場トキさんだ。
チラリと横目に壱星を見て、
「あらまあまあ」
と、この前と同じに着物の袂を口に添えて「ほほほ」と笑った。
それだけで壱星は黙ってしまった。
すごいぞトキさん。絶対に敵に廻したくないぞトキさん。