「ねぇ……俺たちって付き合ってる?」


やっぱりはぐらかして、彼女は言う。


「知ってる?えくぼってね、天使がほっぺを突いてるからできるんだって」

「へーえ」

「私の傍にはいつも天使がいるんだよ。だって今、幸せだもん」


“それだけで十分でしょ?”

彼女はそう言うように、俺に抱きついた。


――まぁいいか。


よくないけど、彼女の笑顔を見ていたらそう思ってしまう。

ずっとこのままでいられたらいい。


形ではなくて、一緒にいることが大事なんだ。


そしてきっと、そのうちどうやったって離れられないような

大きな絆が出来上がることを、俺は無邪気に信じていた。