大人びた口調でそう言ってビールを一口飲んだ由紀子さん。

俺には、それが遠まわしに


『健吾くんは子供だから、恋愛対称にならない』

と言っているように聞こえてしまった。


思った以上にショックをうけてる自分に気づいちゃった俺は

どうすればいい?


後ろ首をさすると耳の奥で、井伏の声がする。

“少年”

大人の男の声がする。


――27歳という事は、8歳差か。


俺がそうぼんやりと考えていると、由紀子さんと目が合った。

由紀子さんは少しだけ困ったような顔をして微笑み、すぐに手元の料理に目をやった。