「何か、いい事あったんだ?」
「えっ?」
「図星…。健吾、すぐ顔に出るんだから。分かりやすすぎ!」
「いて」
望乃にでこをつつかれて、俺は笑った。
「誰?彼女?」
「まさかぁ」
「分かった!あの人だ?あの人でしょ。この前、健吾のベッドで……」
「ち、違うよ」
やっぱり覚えてるよなぁ。
あんなインパクトでかいの忘れるわけないよな。
俺はうまい弁解の言葉が見当たらず、地団駄踏みたくなった。
アイスクリームを食べ終えた望乃はトイレに行くと言って席を立った。
俺は机に肘をつき、うな垂れる。
やっぱりあの時、何としても望乃に部屋を見られるのを阻止すべきだった……。
あの時、由紀子さんがくしゃみしなければなぁ…。
そもそも、目覚ましをつけてもっと早く起きてればまた違ったはず…。
って、もう遅いし。
俺、一生の不覚。
するとそこへ俺に追い討ちをかける電話がかかってきた。
青色の携帯を開き、誰からかもろくに見ずにだらけた声で電話に出た。