――結局、俺がサーティーワンのアイスを奢ったことにより、望乃は少し落ち着いた。


やっぱり拗ねたままだったが、目の前でおいしそうにアイスを食べている。

機嫌は直ってないにしても、さっきよりはマシか。


女にはとりあえず、”甘いもの”だ。

これ教訓リストに追加。


そんな事をぼんやり思って一息ついていると、ポケットの携帯が震えた。

俺は鬱陶しそうにそれを取り出して受信メールを開いた。



――えっ!


俺は思わず背もたれに寄りかけていた体を、前へと起こした。

メールの相手は由紀子さんだった。




『健吾くん。井伏さんの今までの写真集見たいって言ってたでしょ。急なんだけど、それ貸したいから今日の夜にでも会えませんか?

量が結構あるから、大学で渡すわけにもいかないし。家まで持っていけたらいいと思うんだけど…この前の事もあるから、悪いかなって思って。

だから駅で待ち合わせして、夕飯でも一緒にどう?返事待ってます。由紀子』