「………」

「………」


しばらく沈黙が続いた。


ああ、

ますます気になる。


本当に、中身は何なんだろう。


するとしばらく動かなかった由紀子さんが、またぶわっと泣き出してしまった。


今度は叫ぶでもなく、怒るでもなく、ただ静かに泣きじゃくっている。

その姿が何とも痛々しいくらい切なくて、俺は言葉に詰まってしまった。



「じゃあ、俺、確かに渡しましたから」


立ち上がってまた駅の方へ歩き出そうとしたが、俺の右足は前へ前進するのを躊躇った。


もう任務は果たしたんだ。俺は関係ないじゃないか。

そうだ、すみやかに退場しよう。


常識的に考えて、今日の出来事には現実味がない。

もうこれ以上、面倒事には、巻き込まれたくないし。


そう思った。

そう思っていたのに。