「少し、話をして良い?」

───少し、頭の整理がしたいんだ。

「……えぇ、大丈夫。」



───無邪気に、笑っていた。

楠グループの、息子の俺。

だが、兄が居た為、跡取りにはならなくて良かった。

跡取りじゃないから、負担は全て兄にいった。

だけど、優しい兄は無邪気に笑っている俺を責めもせず微笑んでいた。

当時、9歳。

少し、家のことが分かり始めた頃。

────無理矢理、笑っていた。

優しい兄が、ついに壊れた。

我慢、していたんだろう。

好きなことも出来ずに。