「少し、話をして良い?」
───少し、頭の整理がしたいんだ。
「……えぇ、大丈夫。」
*
───無邪気に、笑っていた。
楠グループの、息子の俺。
だが、兄が居た為、跡取りにはならなくて良かった。
跡取りじゃないから、負担は全て兄にいった。
だけど、優しい兄は無邪気に笑っている俺を責めもせず微笑んでいた。
当時、9歳。
少し、家のことが分かり始めた頃。
────無理矢理、笑っていた。
優しい兄が、ついに壊れた。
我慢、していたんだろう。
好きなことも出来ずに。
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