「……朝、」

「何?理沙。」

ギュッと、もう離さないように抱き締める。

「───朝。

私は、理沙さんじゃないわ。」

その声を聞いて、現実に引き戻された様な気がした。

「……うん。」

俺は、スッと彼女から離れた。

「、ごめん。」

「大丈夫よ。」

ゆっくり、美しく笑う彼女。

そうだ、彼女と理沙は違うんだ。

彼女の、優しさに浸って忘れていた。

こうなる事が怖くて。

いつも、避けていたのに。

「ねぇ、悠莉。」

俺は、彼女を見つめた。

「何?」