彼女の顔が、言葉が離れない。

「っ、ハァハァ……!」

バンッと開けた先は、屋上。

肩で、息をして何とか自分を落ち着かせ様とする。

「っ、」

ただ、彼女が忘れられない。

怖くて、怖くて。

忘れたら、彼女が悲しむから。

「……朝。」

凛とした声が耳に入った。

「悠、莉……。」

どうして、場所が分かったんだろう。

「朝、ねぇ……何をそんなに怖がっているの?」

『朝は、どうしてそんなにビクビクしているの?』

───ああ。

彼女と重ねてしまうのはきっと。