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ジャンキー(1)







「大好き」と、前みたいに大きな声で言えたらいいのに。








神様は、かなりのひねくれ者だと思う。


「中原」


名前を呼ばれ、振り返る。
そこにいたのは長身の、やけに目をひく人。


「今村…くん」


あたしは手に持っていた、鞄に入りきらなかった教材を持ち直しながら彼の名前を呼んだ。


「放課後、暇?
手伝ってほしいことあるんだけど。」


「あー…うん、大丈夫。」


「じゃ、後で。」


それだけ言って、あたしの横を通りすぎる時に肩を軽く叩いた。


「…ばか」


呟いた言葉は、神へか、彼へか、それとも自分へのものなのか。
誰にもわからないまま、ゆらりと世界に溶けた。


「みかこ、放課後生徒会?」


「うん、ごめんね。また今度一緒に遊ぼ」


「んーわかったー」


少し苦笑いしながら友達に謝る。
さっきの彼は、我が学校の生徒会長様。
あたしは、生徒会書記。
そんなあたしたちは、幼なじみ、だったりする。
そんでもって、あたしは彼が好き、だったりする。


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