「…な、なんで…私が…?」






今思えば、私はその男と一度も目を合わさなかった。

















男はずっと下を向いている私を見て、ふふっと笑った。



「そりゃテンパっちゃうよね。…これ。」





男が何かを差し出してきた。










それは、『芸能プロダクション・笹川直樹』と書いてある名刺だった。