一目散に職員室へ向かい、それを届けた。
しかし、思いの外先生たちは大爆笑。
「えっ!?」
私が唖然としていると、2年3組担任の新庄先生が笑いながらやって来た。
「わざわざ届けてくれてありがとうな、小池。後で処分しておく。」
「あっ…はい。」
じゃあ何故笑っているのですか…?
心の中で疑問を投げかけると新庄先生は続けてこう言った。
「まぁ、健全な男子高校生だったら、こういう物を持ち込みたくはなるわな。」
その言葉でまた笑いが起こった。
今度は別の男の先生が言った。
「それにしても小池さん。正義感があるねぇ~。女子生徒でこういう物を職員室送りにするのは勇気もいるでしょうからね。いやぁー、良い行動だよ。」
一人でベラベラと喋る中年おじさん…いや、先生。
「失礼しました。」
新庄先生たちは笑っていたけど、あれは学校に持ち込み禁止のものでしょ!?
きちんと処分して下さるのかな…。
そんな事を思いながら再び部室の方へと足を運んだ。
「あっ桃子ー」
教室へ戻る途中、里美たちとすれ違った。
「あれっ?五校時、教室じゃなかったっけ?」
「あー、なんか急遽変更みたい。2組と合同でPC室だって。てかどこ行ってたのー?」
「ちょっと部室に…」
昼休みの事柄を私が説明している途中に四人はPC室の方へ行ってしまった。
「ノートと筆記用具だけでいいみたいだからー。」
里美の声を背中で受け止めて、教室へ走った。
部室にいる時予鈴が鳴ったから、二分くらいしか時間がないよね!?
PC室は別塔にあるから余計急がなきゃ!!
1組の教室が見えて、2組を通った時出てきた男子と正面衝突した。
「わっ!ごめんなさいっ。」
しかしその男子は私の顔を見ることなくそのまま走って行った。
2組から出てきたってことはPC室だよね。
私も行くから待って!なんて言えませんよね…。
教室からノートと筆記用具を取り出し、息を切らしながらも走っていると始まりチャイムがなってしまった。
やっぱり遅れちゃった…。
さっきぶつかった人も間に合わなかっただろうな。
一人だけじゃないのならまだ良かった。
別塔へ繋がる廊下には、いかにも秋らしい紅葉やイチョウ葉が散っていた。