制服は着てるけど私の学校のとは違うみたいだ。
誰だろう、かっこいいな…
きょとんとしながら1人考えを巡らせて男の様子を伺っていると突然、

「これからどっか遊び行かない~?」

顔はまっすぐ前を向いたまま、男は言葉を発した。
わ、びっくりした…ナンパ?私に言ってるの・・・か?

「そうそう、君に言ってるの。理沙さん」
「え…あ、それよりなんで私の名前…」

名前よりも、心を読まれたのかと思った事の方がびっくりした。
こんな些細なことでも私は感情を隠してしまう。

「俺、望。よろしく~」
「あ、理沙…です…」

自己紹介をされ、思わず私も自己紹介してしまった。
何してるんだろう、こんな初対面の不審な男に…でも、悪い人ではなさそう。

「敬語なんて使わなくていいから!とりあえず遊びに行こうぜ~」

というと、望は立ち上がり、私の手を掴んでつかつかと歩き始めた。
え、なにコイツ!?誘拐!?

「あの、ちょっと離して下さい…!」
「え~だって、家帰りたくないんでしょ?だったらちょっとでいいから付き合ってよ~」

この人、私の心を本当に読んでるの!?
まさかね…
一瞬戸惑ったけど、今はもうどうでもよかった。どうにでもなれという気分だった。

「わかりました!付き合いますから、とりあえず手は離してくださいっ!」