1人目を腫らしたままうつむいて食事を取っていると、母は私に向かって

「なんでこんないい日にあんたは暗い顔してるの。笑いなさい」

と命令した。命令にしか聞こえなかった。
何がおかしいのかわからないのに笑えない、と、表情をこわばらせたままでいると、

「父さんも母さんも、そんな暗い娘に育てた覚えはないぞ。もっと明るくて元気な子が欲しかったなぁ」

と、今度は父から軽蔑の眼差しでそう言われた。

私は恐怖した。
両親の望み通りの子供にならなければ、私は捨てられるんじゃないだろうか、と。

私は無理矢理笑顔を作り、その場の空気は良くなった。
結局、目が腫れている原因について、両親は一度も私に尋ねることは無かった。

それ以来、私は感情表現がうまくできなくなった。
涙も出なくなってしまった。

こういうことをすれば喜んでくれるだろうか、褒めてくれるだろうかと、
いつの間にか周囲の顔色を伺いながら生きていた。

そうすれば怒られることも傷つくことも無かったから。