両親はテストの結果で私の価値を評価していた。
成績が私のすべてだった。

小学校2年生のある日、それまでずっと仲のよかった親友ののんちゃんが転校してしまう事を知り、
私は泣きながら家に帰った。

家に着くなり、母は「今日テストが返ってきたでしょ?見せなさい」といった。
親同士が仲が良かったから、のんちゃんの事は母も知っているはずだった。

それが理由で泣いていることは少し考えればわかるはずなのに、母はその事には一切触れなかった。

テストは100点だった。
仕事から帰ってきた父も交えた食卓では、私のテストの結果と、
偶然にもこの日昇進が決まった父の話題で持ちきりだった。

両親は2人とも楽しそうに話しをしている。

でも親友が転校してしまうことの方が私にとっては重大なことで、笑う気にはなれなかった。