物凄く、物凄く沢山の考えが頭を巡っているのに。
私は心にもない笑顔でその場を取り繕ってしまう。

「…何謝ってんの!もーそんな顔してたら私が拓海のこと怒ってるみたいじゃん」
「理沙…」
「もう…気にしなくていいから…ね?また今までどおり友達やろうよ!」
「ホント…ごめんな」

お願いだからもう謝らないで。
どんどん惨めな気持ちになるから。

「じゃあ…俺行くわ。また明日学校でな」
「うん!じゃあね!」

精一杯の笑顔で拓海を見送った。

――――私、何してるんだろう。

ホントは怒りをぶつけたかった。
今この場所で泣きじゃくって、せめて最後に拓海を困らせてやればよかった。

でもいざとなると、私は感情を素直に表現できない。

いつからこんな風になってしまったんだろう。
原因は自分でもなんとなくわかっていた。