ようやく泣き止んで店を出て、夜道を望と2人で歩いていた。
気がつけば門限の8時はとっくに過ぎていた。
恐る恐る携帯を見ると、案の定親からの着信で埋まっていた。

「うわ~ヤバ。絶対これ怒られるわ…まいっか…」

ちょっと前の私だったら考えられない感覚だった。
約束を破ったことは悪いけど今日はいい。今日はつらいことがあったんだから仕方ない。
そう心の中で割り切り、「ごめんなさい、あと30分くらいで帰ります」というメールを打ち、
ふうっ息を吐いて携帯を閉じた。

「大丈夫大丈夫~俺も一緒に謝ってあげるから~」
「いきなり見知らぬ男なんか連れてったら逆効果でしょ…」
「見知らぬ~?なんだまだ気づいてね~の~?」
「へ?」

やっぱりどっかで会った事あるんだろうか?
でもこんな顔のイイ男そうそう忘れるもんじゃないし…

「小学校2年の時よく一緒に遊んでたじゃん。忘れちゃったの~?」
「え……えええ!?もしかして『のんちゃん』…?」