早瀬君から貰った飴をしっかりと握り締めて帰った。



「心々乃。遅い。何してたの」



「あ、ごめん。早瀬君と会ったから話してたの」




お姉ちゃんが靴箱を蹴り上げた。



「はあ?ふざけんなよ。あ、言っとくけど譲る気はないから」



多分お姉ちゃんは本気で早瀬君を好きになったんだと思う。



よく、あんなに冷たくされて好きになれたもんだ。



「別に好きじゃないから」



そう言って、私はお姉ちゃんの横を通った。



「そういう態度キモイんだけどー。」




お姉ちゃんはケラケラと笑っている。



自分の部屋に入るとベットに潜り込んで飴の袋を開けた。




口に入れると、何だか懐かしい味がする。





そういえば、十年前に食べてから一回も食べる事無かったな。



確かこの飴は大阪限定なんだよね。






「おいしい・・」





ベランダに出てみると、丁度早瀬君もベランダに出てきた。





「あれ?春川やん。もしかして部屋隣?」




またドキドキしてる。



「そうみたい。何かあったら喋れるね」




「あー、ほんまやな。いつでも喋れるやん。」




ちょっと冗談半分だったのに。



嬉しくて仕方なかった。





「あの・・早瀬君・・・・?」




「ん?」




「良かったらメアド交換しない・・・?」




メールアドレス聞くのにこんなに緊張するんだ・・。




「あぁ、いいで。」




初めてメールアドレスを交換した人。




今まで誰一人と連絡をとってなかったから嬉しかった。