帰り道、結衣とは途中から逆方向になってしまう。




「なあ」



後ろから誰かに話しかけられた。



「へ?」



「昔、春川ここに住んでたん?」



「うん。住んでた」



早瀬君、何でここにいるんだろう。





それに、お姉ちゃんはどこに行ったんだろう。





「俺ら会ってたんかもしらんな」





「早瀬君?」




「ん?」




もしかしたら、早瀬君ならあの人の事を知ってるかもしれない・・。



「はるやって言う人・・知ってる・・?」




一瞬、時が止まったのかと思う位静まり返った。



「早瀬・・君?」




「・・・あぁ。ごめん。俺は知らんわ。役に立てんでごめんな」




そう言って、私に手を差し伸べてきた。



「え?何?」



「あげる。」



私の手の上に何かを置いた。



「あー、これ私の大好きな飴ちゃんだ。いちごミルク味」



「好きなん?」



「大好きなの」




十年前にあの人からもらった最初のプレゼント。





「じゃあまたあげるわ。ポケット入れとったからちょっと溶けてるけど」



そう言って微笑んだ。



ドキッ。



何か、凄く胸が痛い。