初めての学校は、時間が経つのが早く感じた。
「へぇー早瀬君ってうちの家の隣なんだぁ」
その言葉に耳が動いた。
「あの・・早瀬君」
「何よ。心々乃」
お姉ちゃんが私を睨みつけた。
「ずっとこの辺に住んでるの?・・その・・十年前とか・・」
早瀬君は私の顔を見るとなぜか微笑んだ。
「俺、ずっとこの辺に住んでるで」
そう言うと、かばんを持って教室を出て行った。
「あ、待ってよ。早瀬君」
お姉ちゃんが後を追うように走って帰っていった。
「月乃ちゃん、凄い気に入ってるね」
結衣が励ますかのように私の肩に手をのせてきた。
「な・・何この手。私、早瀬君の事好きじゃないよ?」
「まあまあ。恋する気持ちは分かるって」
結衣ってば、勘違いしてる。
私はもうずっと片思いの人がいるから・・・。